2024年2月22日(木)に、QUESTIONにて「2050年CO2ゼロ どこでもトーク」を開催しました。
主催のくるん京都は、国籍や年代の異なる多様なメンバーが集まり、使い捨てのない循環する暮らしを目指して活動している団体です。
今回のテーマは「みんなでつくる、ごみを生まない『小売』」。
容器包装ごみや食品ロスのない「ゼロウェイスト」をめざすスーパーマーケット「斗々屋」から、梅田温子さんを講師に迎え、小売業を営む事業者や、ゼロウェイストに取り組む市民が参加し、参加交流型のオープンミーティングを開催しました。
最初にエコ学区サポートセンターから、どこでもトークの趣旨と地球温暖化の現状について説明しました。
次にくるん京都から、日本や世界におけるプラスチックごみの現状について情報提供。
日本の国民1人あたりのプラスチック容器包装の廃棄量は、世界ワースト2位なのだそうです。
※くるん京都スライドより
そして講師の梅田さんから、斗々屋の取組紹介がありました。
斗々屋では、「量り売り」「デポジット容器システム」により、容器包装ごみが出ないようにしています。
また、売れ残り食材などを調理加工し、惣菜として店内イートインで提供したり、保存食にして店頭で販売することで、食品ロスも削減。
仕入れにも「通い袋」「通い箱」を使い、生ごみは全て堆肥化するので、廃棄するごみはわずかな量です。
梅田さんは、「『限りある資源』と『限りない経済発展』の両立をするために、『自然・ひと・経済』のバランスが取れた心豊かな暮らしを実現することが必要」と訴えました。
量り売りのお店が斗々屋1軒だけでは、ごみはなかなか減りません。斗々屋は、ゼロウェイストなお店を増やしていくために、企業や個人事業主へのノウハウのシェアにも力を注いでいます。
また、2023年には、Uber Eatsでのデポジット容器試行、東京代官山にキオスクスタイルのミニストア「CIRTY BIOSK by Totoya」オープンなど、新たな取り組みにも踏み出しました。
梅田さんのお話の後、梅田さんへの質問や、市役所の職員も参加した意見交換。
「デポジット容器の持参率・返却率は?」という質問には、梅田さんが「初めての来店の場合、7~8割の方がデポジット容器を使う」「返却率4割だったのが、5割にまで上がった」「容器を返すと150円戻ってくるので、家に溜まってきたら返しに来てもらえる」とのお答え。
「ゼロウェイストを普及させていく可能性は?」という質問には、梅田さんが「『環境』よりも『おいしい』『うれしい』『たのしい』で進めていきたい」「エコやヴィーガン=敷居が高いもの(意識が高い人の考え方)というイメージを変えていきたい」「コンビニとは味が違うから、食べたら選んでもらえると思う」と回答されていました。また、社会全体が変わっていくためには、行政のルールづくりが必要であり、行政と話をすることも重要であると。
容器包装資材は、使い捨てコップが約20~30円、食品トレーも約5~35円と、決して安いものではありません。
※くるん京都スライドより
容器包装の削減は、売る側にも買う側にもメリットがあります。過剰包装を見直し、容器持参のできる店が増えることで、「ゼロウェイストなお買い物」の裾野は広がっていくことでしょう。
会の最後に、くるん京都から、デポジット容器を使ったドリンクがふるまわれました。
実施後のアンケートには、
・エコ活動に参加したいと思えるようになった。個人で実践できることを着々とやっていきたい。
・徹底してやってらっしゃるので、自分も実践したいと思った。
・「おいしい・うれしい・たのしいが大事」ということは、今後の店の運営に生かしていきたいと思った。
・リアルな話もあり有意義な時間だった。来てよかった。
・日本で脱プラの改革起こそうと思うと、ある意味空気を読んでいては動けないのだなと感じた。
・環境に対するモチベーションが上がった。すぐ取り入れることは難しいが、社内で共有したいと思う。
といった感想が寄せられ、参加した個人・事業者が、先駆者・斗々屋から大きな刺激を得たミーティングであったことが、ひしひしと感じられました。
※この事業は、令和5年度「エコ学区」ステップアップ事業に係る学習会等支援業務(2050年CO2ゼロどこでもトーク)として、(公財)京都市環境保全活動推進協会が実施しました。