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京都府立洛西高等学校×ヒューマンフォーラム「サステナブルファッション、古着の回収と循環の仕組み」2023.11.9

 

2023年11月9日(木)に京都府立洛西高等学校にて、「【2050年CO2ゼロ どこでもトーク】ファッションロス、古着の回収と循環の仕組み」を開催しました。

今回は洛西高校1年生の総合的な探求の授業へ出向いての開催となりました。この授業ではさまざまな方のお話を聞き、社会課題を考えるだけでなく、これからの進路を考えるきっかけづくりをされています。

これまでの学習では野菜や魚の流通で生じる「食品ロス」を学ばれていたよう。今回は「ファッションロス」をテーマに「SPINNS」などの古着屋を運営している株式会社ヒューマンフォーラムの岩崎さんを講師にお招きし、ファッション業界と環境問題についてだけではなく、この業界を選んだ理由は?といったキャリアの視点からもお話いただきました。

▼環境問題に興味がある人?
始めにエコ学区サポートセンターから地球温暖化の状況についての説明をした後、講師の岩崎さんへバトンタッチ!

岩崎さんからの「環境問題に関心がある人?」という呼びかけに手を挙げたのは全体の3割程度の生徒達。関心を持ってくれている子達がいることに嬉しさを感じました!

洛西高校

▼手に入れ方だけでなく手放し方を考えよう!
岩崎さんがこの業界に入ったのは「古着がかっこいい!」という気持ちからだったようです。そして現在ではファッションと環境問題はどんな風に繋がって、どんな貢献ができるのかを考えて、使用済衣服を循環させるプロジェクトを開始されました。

循環フェス

「若者と京都から生み出す新しい”循環“のムーブメント」をテーマに取り組まれているリユースの祭典循環フェス

使用済衣服の回収&循環プロジェクトRELEASE⇔CATCHで回収された古着を3点まで無料で持ち帰れる「¥0マーケット」など、リユース文化を楽しく盛り上げるイベントになっています。

そんなプロジェクトに取り組む背景には、ファッション業界の環境負荷や衣服リサイクルの現状が隠れています。実はファッション業界は環境負荷がとても大きい業界と言われており、それは、服を1着作るために排出するCO2の量や使用する水の量の多さ、リサイクル目的で回収された服の最終的に行きつく先がごみとなって捨てられることがあるなど、
さまざまな要因があります。

他にも、岩崎さんからは「今の時代は服が供給過多になっている」「需要と供給のバランスが取れていない」というお話がありました。

ファッション業界

自身の仕事と向き合う上で、ファッション業界の責任を考えて始められたのがRELEASE⇔CATCH。始まりは「CO2を減らそう!」としてではなく、まだ着れる衣服が捨てられてしまう、そんな「もったいない」をなくすために「できることから始めよう」とチャレンジされたそうです。

現在、回収ボックスはSPINNSの店舗や京都信用金庫全本店支店全てのほか、京都市立高校9校にも設置されており、「子どものころから回収ボックスが当たり前にあって、そんな子ども達が大人になった社会はモノが循環する仕組みができているのでは?」とみんなの身近な場所に回収ボックスを設置したいと考えられています。

▼プロジェクトの参画者!
このプロジェクトにはたくさんの方が関わっています。「RELEASE⇔CATCH」と「循環フェス」の立ち上げから参画されていた笹木さん。当時は大学生でしたが、この春から社会人となり、仕事として岩崎さんと一緒にプロジェクトを盛り上げています。

登壇者

高校生と1番年齢が近い笹木さんの話に高校生も興味深く耳を傾けてくれていました。今日の洋服のコーディネートは「RELEASE⇔CATCH」で集めた古着を着てくれたようです。

▼みんなでディスカッション「もったいないと思うもの」
後半には岩崎さん、笹木さん、高校の先生方を真ん中に高校生たちがそれを取り囲むようにしてディスカッションを行いました。

高校生のみなさんの「もったいないと思うもの」を発表してもらうと、「モノ」以外にも【若さ】や【寝る時間】なども挙げられていました。

また、講演内容に関する質問では、「今日の服は古着ですか?」という講師のファッションに関する
質問や「プロジェクトはどのようにして収入が得られるのか?」とビジネスに関する切り込んだ質問も!

高校生たちはこういったファッションロスや課題解決のビジネスに関して、当事者の方とディスカッションは初めてだったようで、みんなで楽しみながら交流を深めることができました。 さまざまな人の意見を聞くことで、視野が広がったのでは?

ディスカッション

▼自由参加の仕分け体験会!
放課後には自由参加で「RELEASE⇔CATCH」で回収した衣服の仕分け体験会を開催しました。

事前の告知では、申込は6名だったようですが、講師の話を聞いて興味を持ってくれた高校生たちがたくさん集まってくれました。

また授業を受けた1年生だけではく、「古着がもらえるかも?」と2年生も参加してくれていました!

まずは笹木さんから仕分け方法について説明があり、 「まだ着られるものか」「男性・女性、夏物・冬物、トップス・ボトムスなど、どんなカテゴリーに分類されるか」友達同士で相談しながら仕分け体験を行いました。

カテゴリー
仕分け体験
仕分け体験

▼仕分け後の洋服たち
みんなで悩みながらも、全ての服が仕分けられました!

仕分け中に見つけたお気に入りの服は持って帰ってもOKとしていたので仕分けが終わった後も、「どれがいいかな?」と時間をかけて悩んでいる様子が見られました。

仕分け体験では、どんな服が手放されたかを知るだけではなく「自分が着なくなっても他の誰かが必要としているかもしれない」という気持ちを育むことができたのではないでしょうか。

参加した高校生たちのアンケートでは

・途上国への衣服の寄付など善意でやっていることでも多過ぎれば迷惑になる。そのため良いことであろうがそのあとにどうなっているかを考えたり調べたりすることが大切だと思いました。

・自分の将来の職業に環境を良くできるようなことを目指すのもいいと思いました。

・服を買いすぎず、長く着るようにしたいと思った。

・リサイクルは環境に良いというイメージがあったけれど、リサイクルしきれずに廃棄されてて環境汚染になってしまっていることがあると知って、リサイクルしていい気分になるのではなく、きちんと現状を知ることが必要だと思いました。

・服をリサイクルしていくことで、自分も新しい服を簡単に手に入れることができるし、自分の気に入っていた服がなくなることなく、使われることが嬉しいと思った。

と、自分達の行動を見直すきっかけになったり、自分の将来を考えようとする意見もありました。

中には、自由記述で用紙にびっしりと記入されたアンケートも!!(この記事の末尾に一部を掲載しています)

今までは環境とファッションの繋がりについて知らなかったという高校生たちがほとんどだったので、今回の学習会で今自分達が着ている服を大事にしたいなどの感想がたくさんあり、環境とファッションロスの関係についてしっかりと学んでくれました。

これからの将来を担う高校生たちが自身のライフスタイルを見つめ直し、環境問題に関心を持ってもらうきっかけになってほしいです!


  • 日時:2023年11月19日(木)15:25-16:15
  • 場所:京都府立洛西高等学校
  • 主催:京都府立洛西高等学校
  • 講師:岩崎 仁志 氏(株式会社ヒューマンフォーラム)、 笹木 晴菜 氏(はあと・フレンズ・ストア)
  • 参加者数:290名

※この事業は、令和5年度「エコ学区」ステップアップ事業に係る学習会等支援業務(2050年CO2ゼロどこでもトーク)として、(公財)京都市環境保全活動推進協会が実施しました。



【追記】生徒たちへのアンケートの自由記述より、15名の声をご紹介します。

・今回の話で廃棄される服を減らすために私達はどうしたらいいのかを考えることが出来た。昔は作れば作るほど売れていたが、最近はコロナの影響もあり、服が捨てられるようになった。服を捨てることによって環境が汚れていくので、できるだけ捨てられるような服が集まるイベントに参加したい。

・ファッション業界でも捨ててしまうものがこんなにたくさんあるんだなと感じました。環境省とファッションにはあまり関係がないと思っていましたが、今日のお話を聞いて、ファッションも世界の環境と関わっていて大変なことを知りました。

出来上がった服はリサイクルできないんじゃないかと思いましたが、映像を見て、大学生の方々が服をデザインしてモデルになっているのを見て、この制作が増えて欲しいなと思いました。

日本にいるデザイナーさんはいろいろな工夫をされていますが、アフリカの土地などには衣類がたくさんすてられているのは悲しいことだと思いました。服を1枚作るのにも環境への負担がすごいことを知り、世の中のファッションに携わる人はとても苦労しているんだなということを考えました。服はまだ着れるものも、サイズやデザインがあわなかったり、少しの傷などで捨てられてしまうものがあると聞いて、この調子が続いてしまうと、いくら声を呼びかけても地球の温暖化が進んでしまうと思いました。

私も服を捨てようか悩んでいる時はなるべくリサイクルなどに出して、少しでも環境の汚染を止めたいと思いました。

・服装業界はいっぱいつくっていっぱい捨てているということに驚きました。善意でやっていることでも多過ぎれば迷惑になる。そのため良いことであろうがそのあとにどうなっているかを考えたり調べたりすることが大切だと思いました。自分が着なくなった服だとしても他が着てくれるかもしれない。そう思ってリサイクルショップに持って行くことが大切だと分かりました。

服を1着作るだけで二酸化炭素が大量に出て水も大量に消費するうえに、日本の場合が供給過多で捨てられている服も多く、その多くは焼却処分されていることが分かりました。これから服や服以外の物の手に入れ方や捨て方について考えるとともに、循環フェスのような活動に参加したいと思いました。

・私は買ってみてもあまり着ずに棚にしまいっぱなしの服をいくつか持っています。今までは家族にたまに着てもらうくらいだったけれど、今回の話で他の使い道もあると理解できました。

服飾産業が原因の環境汚染の多さについても初めて知りました。ショッピングモールなどでも服屋の中に古着回収BOXがあるのを見た事がありましたが、それの看板に「寄付」のためと書かれていても服の状態や数によっては廃棄されて汚染の原因となることを覚えておきたいです。

今回説明を受けた循環フェスとRELEASE⇔CATCHでは詳しい内容を知る事ができたので、自分でももう少し調べてみて参加したいと思いました。これまでフリーマーケットで古着を見ても「安くてお得だな」ぐらいにしか考えたことがありませんでしたが、環境への手助けになっていると知る事が出来たので、今後の服の買い方についても考え直したいです。

服だけではなく、日々の生活でムダにしているものがないか、環境へ悪影響を与えていないか振り返って見直していけるように日頃から意識して過ごしていきたいです。

・服の整理をしたときにほとんどを可燃ごみに出してしまっていて、それが環境にすごく悪影響だったなんて気付かなったので、すごくいい機会になりました。私はふだんからリユースショップをよく利用するので、少しでも環境に配慮した取組に貢献できている事が嬉しいなと思いました。

・いつも服をごみ袋に入れて捨てたりしていたので、回収BOXがあることを知ったので、できるだけ回収BOXまで持って行こうと思った。捨てる以外にもメルカリに出したりはするけど、捨てる方が多いので意識を改めようと思った。古着を売ったり、無料であげたりで「もったいない」を減らすことができると思った。回収BOXはすごいと思った。これで二酸化炭素を結構減らせると思った。

・古着回収の市場が開かれていたことを初めて知りました。私も服を捨てられずにもっているものが多かったので、回収ボックスや市場に渡しに行きたいなあと思いました。また、服を捨てるだけで二酸化炭素が出ることを初めて知りました。今日来てくださっていた方々、全員ファッションセンスがあってかわいいし、かっこいいと思いました。

・服と環境ってどう関係しているのか分からなかったけど、話を聞いてよく分かりました。着なくなったものを回収してもう1回誰かに着てもらうということが良いなと思いました。自分の親もたまにフリーマーケットで服を買うことがあるのですが、この「フリーマーケット」ってとても大切なことだと知る事ができました。また自分の家では、着なくなったものをそうじで使ったりしています。これからもそれらのことを続けて行こうと思います。ありがとうございました。

・自分もファッションが好きだから環境にいい形で好きな事ができるって知って、すごくいいなと思った。勿体ない事って沢山身の回りにあるからなくしていきたいなと思う。

・リサイクルは環境に良いというイメージがあったけれど、リサイクルしきれずに廃棄されて環境汚染になってしまっていることを知って、リサイクルしていい気分になるのではなく、きちんと現状を知ることが必要だと思いました。

・今日のお話で環境を守る事はごみの分別や買いすぎない事だけだと思っていたけれど、服でも環境を守ることができると分かりました。また、リサイクルすることはいいことだけど、リサイクルによって困る人がでてくるということを初めて知りました。地球環境を守るためにも、正しい知識を身に付け、正しい行動をすることが大切だと思いました。

・大きなごみ(服)を出さないように、使わなくなったキレイな服を回収する回収BOX便利!

回収ボックス、循環フェスのこと、全く知らなかったし、皆知らなかったと思う。こんなことやっているのなら全然買いに行きたいし、回収してほしいと思った。もっと多くの人に知ってほしい。

自分も関西人だからか、もったいないと思うことが良くあるからこのような事業はもっと広まってほしいし増えてほしい。

・最後の方に行ったディスカッションがすごくおもしろかった。このディスカッションと笹木さんたちのお話を聞いて「循環フェス」にも興味を持てた。リサイクルも積極的にやりたいと思う。笹木さんかわいいです。

・自分も親について行って、梅小路のやつに行ったことがあって、その時は古着に興味もなかったので、服もあまり見ず、話も聞かなかったが、今日話を聞いてとても深いイベントだと思いました。若い人を呼んで活動してはることに感動しました。